2024/03/11 13:00令和5年度封入体筋炎班会議に関するご報告テキスト貼付け

トップページの「希少難治性筋疾患に関する調査研究班班会議および封入体筋炎(IBM)分科会」の報告内容を以下にテキストで貼付けました。非常に興味深い内容のため皆さんご覧下さい。

 

 令和6年2月2日に東北大学東京オフィスで、厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)の希少難治性筋疾患に関する調査研究班班会議および封入体筋炎(IBM)分科会が開催されましたので、その研究報告の一部をご報告いたします。

 

 IBM分科会の冒頭では、研究代表者である東北大学の青木正志先生から開会の挨拶があり、その後、事務局を務める鈴木直輝先生より「封入体筋炎分科会研究の展開」に関する発表がありました。これまでの研究班の取り組みとして、診療の手引きに関して日本人自然歴、嚥下評価、自己抗体、治験の現状などをアップデートし、日本神経学会での承認を得たことが報告されました。今後の方向性としては、政策研究班として現行の医療水準の向上に努めつつ、病態解明のために生検筋・血清・DNA・患者由来細胞などの患者由来のリソースの蓄積と活用を行い、治療開発の基盤となる連携を構築することが示されました。また、IBMの治験に備えたレジストリの整備も進められることが発表されました。

 その後、各班員からの研究発表が行われ、まず初めに和歌山県立医科大学の村田顕也先生が「当院におけるIBM患者のセカンドオピニオンの相談内容について」発表されました。同院セカンドオピニオン外来に紹介されたIBM患者例をもとにその紹介内容を検討し、患者自身がセカンドオピニオンに何を求めているのかについて解析され、患者のニーズや社会福祉制度の活用に関する課題が明らかにされました。

 次に、国立精神・神経医療研究センター病院の平賢一郎先生による「封入体筋炎における頭頸部筋病変の検討」が行われました。嚥下障害に関する頭頸部筋病変を明らかにするために、嚥下型と非嚥下型の患者において頭頸部筋CTを撮影し、CT値の中央値が解析され、輪状咽頭筋だけでなく、他の頭頸部筋にも障害が及んでいる可能性が示されました。

 その後、鹿児島大学病院の児玉憲人先生より、「封入体筋炎におけるマイオカインおよびサイトカインに関する検討」が報告されました。IBM患者におけるgrowth differentiation factor 15 (GDF-15)と各種サイトカインとの関連について解析され、今後の研究展開に期待が寄せられました。

 最後に、徳島大学病院の松井尚子先生からの「当院で経験したIBM兄弟例」が報告され、臨床像の解析から遺伝子検索が今後の課題として示されました。

 その後の希少難治性筋疾患に関する調査研究班において、国際医療福祉大学の山下賢より「封入体筋炎における性別、発症年齢および抗cN1A抗体の影響」について発表しました。IBMが疑われる570名の参加者から臨床情報を収集し、種々の臨床病理学的特徴を男女別、発症年齢、抗cN1A抗体の有無で比較したところ、抗cN1A抗体は手指筋力低下の頻度に影響を及ぼす可能性があり、性別と発症年齢も独立して臨床像に影響を及ぼす可能性を明らかにしました。

 

 

 以上の報告を通じて、患者のニーズや病態に影響を及ぼす要因、嚥下障害のメカニズム、マイオカインやサイトカイン、遺伝子変異などの病態への関与に関する理解が深まるとともに、将来的な臨床研究に向けた基盤整備が進む方向性を確認することができました。

 

2023/09/29 10:50【zoom配信のやり方】

1) PCを使うことをお勧めします。スマホですと講演の資料がパワーポイントで掲示されますので、小さくてほとんど見えないと思います。

2) PCにはwifi環境が必要です。できればwifi6のルーターが設備されていれば最高です。しかしながらたぶん講演を見ることだけになりますので、1万円程度の中級のwifiルーターが設備されていればOKです。

3) 自分のメルアドを配信登録用URLに入力しますと、たぶんzoomの招待メールが自分のメルアドにきますので、講演の時間になったらその招待メールをダブルクリックしてください。自動的にzoomの配信画面になります。

4) 音声はwindowsでしたら、自分のPCの画面右下のスピーカー印で調整してください。

5) 配信されているzoom画面の左下のマイク印とビデオ印は×(スラッシュ)がついていると思いますので、配信元には自分の姿も声も届きません。

6) zoom配信を見る・聞くだけなら、ソフトのインストールは必要ありません。

7) web管理人が2023年10月1日amにzoom配信事前登録を行ったところ、すぐzoomの招待メイールが来ました。よろしくお願いします。

ダウンロード
2023/10/14(土)第4回シロシムス研究会講演 アブストラクト
山下先生の講演アブストラクトは最後のページです。
よろしくお願いします。
20230925_abstracts.pdf
PDFファイル 203.5 KB

2023/05/30 10:50

【患者会役員からのお知らせ】

 患者会では2015年から顧問医が不在となっており、会員の皆様にご不便をかけておりました。この度、学校法人国際医療福祉大学 成田病院 脳神経内科 山下 賢教授を顧問医としておむかえ出来ることになりました。先生は、現在も封入体筋炎を担当する難病研究班「希少難治性筋病患に関する調査研究班」(厚生労働省)の分担研究者でさらに上記病院で臨床医としても活躍されております。役員会としても先生をおむかえできたことを大変喜んでおり期待しています。下記に先生からのコメントをいただきましたので掲載します。

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 みなさん、はじめまして。国際医療福祉大学成田病院脳神経内科の山下 賢(やました さとし)と申します。この度、顧問医の就任についてお声掛けをいただき、心より御礼申しあげます。私は徳島県の出身で、1995年熊本大学医学部を卒業いたしましたが、初期研修を受けた熊本大学医学部附属病院でご指導いただいた指導医の先生が筋疾患を専門とされており、その先生の真摯に患者様に向かい合い、寄り添う姿勢に感銘を受け、同じ脳神経内科の道を志しました。当時、いわゆる「多発筋炎」の患者様の中に治療を行っても十分な効果が得られない方々を経験しておりましたが、筋病理や臨床症状に共通点があり、それらの患者様の多くが封入体筋炎であると実感しておりました。平成21年度より東北大学青木正志先生が主宰される厚生労働省科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「封入体筋炎(IBM)の臨床調査および診断基準の作成に関する研究」班(青木班)に参加させていただく機会があり、以降封入体筋炎に関する研究を続けてまいりました。とくに封入体筋炎と筋萎縮性側索硬化症との病理学的共通性を解析したり、封入体筋炎の血清中にみられる抗cN1A抗体を測定し、陽性の患者様の病理学的特徴を検討したり、モデルマウスを作製し、治療法の探索を行いました。またbimagrumabの国際共同治験にも参加いたしました。未だ治療法を見つけられず、皆様には大変心苦しい限りではありますが、今後も患者様のニーズに基づいた研究を行い、海外で進行中の治験を国内にも導入できるよう尽力したいと思っております。国内の封入体筋炎研究者と会員の患者様の橋渡しができればと願っております。今後とも何卒よろしくお願いいたします。