新入会員の皆さんへ⇒患者力UP目指して

                                                          ポピーの会事務局

                                                            2023.11 REV3

 

この病は厄介です。筋力低下がじわじわと進行し、その「進行性」が身体機能、日常生活への将来不安を増大させ  ます。頼みの医師は、明確な治療方針を示してくれません。でも賢く付き合えばポピーの会の合言葉「筋力低下は人生の低下に非ず」を目指すことが出来ます。是非この会の先輩患者のアドバイスを有効に活用してください。

但し、あくまでも先輩患者の参考意見ですので、注意願います。

 

            医師とどう向き合うか? ⇒ 「医師任せにしない」

 

 患者数の少なさからか、病名すら知らない神経内科医が居るのが実情です。国内で封入体筋炎を研究対象に

 しておられるのは数名のみです。ALSと誤診された会員もいます。

 確立した治療法がないのです。残念ながら、医師任せには出来ない病です。

 自身で基本的な知識を「封入体筋炎 診療の手引き(2023年版日本神経学会)」(当ホームページ⇒

 「医療情報」⇒「診療の手引き」)で持つことが必須です。この「手引き」は現時点で最も科学的知見に基づいた

 公的な医療情報です。是非一読下さい。

 

 日々の病状変化は、細かく具体的に記録し、診察時にはメモ等で正確に伝えることが大切です。

 又医師の説明は大事なことはメモ等を取って、確認し、理解できない、納得のいかない事は、何度でも質問

 しましょう。可能であればセカンドオピニオンも求めるのも、よいでしょう。

 このような積極性が医師とのコミュニケーションを向上させ、信頼関係にも繋がります。

 大切なことは、治療方針に納得感が得られ、体と病気に自身でも責任を持つことです。

 

            医療(薬物治療)をどうするか? ⇒ 「納得感を第一に」

 

 体調、筋力変化、薬剤履歴を記録し自己でも管理することは、今後の治療方針に有効です。

 会員の経験によると、薬物療法(ステロイド中心)を進める医師と、全く拒否する医師と約半々くらいです。

 どのような医療を受けるか、受けないか、医師任せではない判断をすべきです 

 医師には、なぜその治療を勧めるのか(勧めないのか)、予想される副作用は、改善する見込み等納得が

 いくまで尋ねて下さい。

 其のうえで、どのような医療を受けるか、自身の生き方、価値観に基づいた判断をすべきです。 

  ポイントは

  ・自分の人生、生活で一番大切なことは?

  ・負えるリスクの許容度は?

  ・一番困っている症状は?

 そして一番後悔の少ない選択をすることです。

 

               リハビリをどうするか? ⇒ 「筋力低下に先回りして備える」

 

 この病は進行性です。個人差が有っても確実に筋力低下は進みます。肝心なのは低下を自覚する前に

 「先回り」して、リハビリを始めることです。自分の筋力状況に合ったリハビリ内容を知るには、理学、作業療法士の        アドバイスが有効です。彼らはリハビリ知識だけでなく、福祉用具等将来の生活障害に備える知識を持っています   積極的に相談しましょう

リハビリのうち筋トレの効果については賛否が有りますが、「翌日に疲労を残さない」程度は認められているようです。過度に運動を控えて廃用性症候群に陥るのは避けたいところです。

上下肢を中心とした障害と共に重篤な症状に嚥下障害が有ります。誤嚥性肺炎に繋がる避けたい症状です。

是非「先回り」して嚥下機能リハビリも始めてください。

同様なリスクとして、頻繁な膝折れ転倒が有ります。此れは骨折に繋がりやすく、更なる筋力低下の大きな要因です。家庭内転倒を防止するための段差解消などの対応は必須です。

ストレッチの効用は認められており、筋肉の柔軟性、関節可動域を確保することは、身体能力の維持に役立ちます。全身(顔から足指まで)のストレッチを日常的に実践することをお勧めします。

HAL治療(当ホームページ⇒「医療情報」⇒「治療体験記」)を受けている会員が相当数おられます。ホームペー ジの治療報告を参照願います。

 

 

             日常生活では? ⇒「一病息災を目指して」

 

 他の病気を併発することは、負のスパイラルに落ち込みかねません。自立生活への大きな障害になります。

 それを避けるためにも、生活習慣病の要因を徹底的に排除しましょう。

 筋力が低下すると、「出不精」になります。これも負のスパイラルの一つです。先輩会員の中には

 様々な社会・ボランティア活動で活躍して、社会生活を楽しんでおられる方も多く居られます。

 社会とのコミュニケーションの維持は有効な「良薬」です。

 目指すは、一病息災です。

 

                 公的支援 ⇒「積極的に活用しよう」

 

  難病・身障者認定、介護保険、公共福祉制度など様々な公的支援の積極的活用は経済的メリットのみならず、

  生活の維持に欠かせません。とりわけケースワーカー、ケアマネジャーらの支援は大きな助けになります。

  彼らは介護、身体障害への対応のプロで、経済的援助、社会生活の維持、介護、福祉用具の活用等この病気に立ち向かう心強い味方です。積極的に活用して、病と共に生きる新たな人生の可能性を広げて下さい。

 

 

                  一人で悩まない⇒「思いを共有し、強く生きる」

 

  一人で悩んでいても、不安が募るばかりです。家族、友人等周りの人に思いを聞いて貰いましょう。

  自分の言葉で話すことは、漠然とした不安を軽減し、これから、どうこの病と付き合っていくか、

  自分なりの答えを 見つける早道です。ポピーの会には苦しい胸の内を受け止め「思いを共有し、強く生きる

  仲間がいます。医療技術は飛躍的に進歩し、新薬、新医療技術の開発は日進月歩です。

  必ず私たちの順番が来ます。其の時まで「筋力の低下を人生の低下にしない」を合言葉に、

  共に頑張りましょう。

 

         「患者力」というのは、あなたが良い医療を選択する事で、病を通じて、

        人生の質を向上させる力なのです。